Home 科学動物学 シャチに悟られない!母ザトウクジラと子の“ささやき会話”を守れ

シャチに悟られない!母ザトウクジラと子の“ささやき会話”を守れ

by ジャスミン

母ザトウクジラと子どもは捕食者に気づかれないよう「ささやき」で会話している

ザトウクジラは最大15mにも達する巨大な生物だが、生まれたばかりの子どもは約4.5mと小さく、シャチなどの捕食者に狙われやすい。

母ザトウクジラは子を守るため、独自のコミュニケーション戦略「ささやき」を発達させた。研究者たちは、母子が330フィート(約100m)先にしか聞こえないかすかなキューキュー音とブーブー音を発していることを突き止めた。これは数キロ先まで響くオスの歌声に比べて極めて静かだ。

この“ささやき”には複数の役割がある。まず、シャチに子の存在を悟られないよう隠すこと。シャチは音で獲物を探るため、母子の静かな発声は発見を難しくする。

次に、発情したオスザトウクジラからも目立たないようにする。オスは子連れのメスに攻撃的になり、授乳を妨げようとすることもある。小声で会話すれば、迷惑な求愛者の注意を引かずに済む。

ただし、シャチがかすかな音を捕らえれば、それを“ホーミングビーコン”にして獲物を特定できる。完全な防御策ではないが、一定の保護効果はある。

ザトウクジラの“ささやき”がコミュニケーションに果たす役割

捕食者回避以外にも“ささやき”には意味がある。子ザトウクジラは遊泳中にのみかすかな発声を行うため、濁った海の中でも母親が位置を把握しやすくしている可能性がある。

授乳中の母子間コミュニケーションにも使われている。子が授乳しながら静かに鳴くと、母も同様の小さな音で返事をする。空腹やその他のニーズを伝えているのかもしれない。

船の騒音がザトウクジラの会話に与える影響

今回の発見は保護上の重要な示唆を持つ。船舶騒音は海洋の大きな汚染源で、クジラ類などのコミュニケーションを妨げている。

船の音は母子のかすかな発声をかき消し、意思疎通を困難にする。子が母親のそばを離れず、餌を見つけられなくなるなど、生存に悪影響を及ぼしかねない。

人間の環境負荷を静めることの重要性

今回の知見は、人間活動の騒音を減らすことがなぜ重要なのかを示している。船舶騒音は、クジラ類の会話を妨げる人為的要因の一例にすぎない。

船の騒音低減へ向けた対策を講じるとともに、クジラや海洋動物のコミュニケーションに関する研究を支援すべきだ。人間の影響を最小限に抑える方法を理解するためである。

人間の環境負荷を静めることで、ザトウクジラをはじめとする海洋生命を守り、次世代に残すことができる。

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